春色サイダー

ほっぺたにキス

　
それもそのはず、付き合いはじめたのは柊ちゃんが紘人くんに告白したからですけれど、付き合い始めてから『すき』や、それに準ずる言葉や行動は全部紘人くんから起こしたもので…

（柊ちゃんの性格を考えれば仕様のないことなのですけれど）

今回の柊ちゃんからのアプローチは紘人くんにとっては予想もしていなかったことなのですから。

…それにしても、まだ帰って来ないんですか。
（遅すぎです）

わたしは紘人くんに体をすりよせ、そして空いている手を ぺろり とひとなめします。

やっと帰って来たようです。

紘人くんは体をびくりとさせたかと思うと、その後すぐに、たくさんの息を吐き出しました。

そしてわたしの体を胸の前まで持ち上げ ぎゅーと抱きしめました。

それはもう、力いっぱいに。

あ、の…かなり苦しいです、中身が飛び出してしまいそうです。

わたしは全ての力を振り絞り、紘人くんの拘束から逃れようとします。

なかなか効果がないのですが、それでも少しはあったようで ほんのちょっとだけ力が緩んだ隙に するり と抜け出すことに成功しました。

よかったです、紘人くんに抱きしめられて圧迫死なんてことにならないで。