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わたしを解放した後も紘人くんは、また先ほどと同じ顔をし続けています。
いつまでそのようにしているつもりなのでしょうか。
時間が時間ですし、そろそろ景くんが帰って来てしまいますよ。
「紘人~!柊ちゃん、すごい勢いで帰っていったんだけど…ってお前、気持ちわる!」
「…お前には言われたくねーよ、バカ兄貴!」
ほら、やって来ましたよ。景くんは紘人くんのお兄さんで4つ上の大学生です。
いつも朔ちゃんについてまわっては、殴られている不憫なひとですが、紘人くん相手では違います。
紘人くんもいつもなら飄々と人をあしらっているのですが、景くんにはかないません。
結局、紘人くんは夕ご飯になる前まであの、締まりのないにやけきった顔が治らず、景くんに散々馬鹿にされてしまったのでした。
…でも、よかったですね、紘人くん。
柊ちゃんがちゃんと紘人くんのことをすきだってことがわかったでしょう?
言葉で表すことが苦手な柊ちゃんですけれど、行動で表すことが苦手な柊ちゃんですけれど、ちゃんと紘人くんのことを好きなのは、紘人くんが柊ちゃんを好きでいることと同じなのですよ。
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