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夜明け前の山道を車で登っていく。
途中から道に少し雪が積もっていたが、それでも順調に進んでいく。
「まだかなぁ」
と聞くと
「あ、見て。あと1キロだって」
とジローが看板を指さす。
「ほんまや」
そう言った瞬間。
キュルルルル
タイヤが雪で滑り空回りする。
少し車は下がり、とりあえず停止した。
「ヤバくない?」
とタケ。
「どうしよう?」
それから三人で話し合い、タケとジローが歩いてスキー場にチェーンがないか見に行くことになる。
その間、オレは車の中で他の車が来ないことを祈りながら待つ。
夜明け前の冬の山道は一人で待つには心細くて、オレは何度もタケに電話をする。
しばらくして二人が戻ってくるが、やはりチェーンはない。
このままここにいるわけにはいかないので、とりあえず下山することに。
車が滑らないよう支えてもらいながら、ゆっくり慎重に向きを変える。
そして現在に至る。
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