始まり

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あれから、一年の月日が流れた。 小学生だった私にとってコウが死んだことは今でも信じられない。 今もどこかで生きていて、ひょっこり戻ってきて「今まで留守にしててごめんね」なんて、いつものあの笑顔で言うんじゃないかっていう妄想を何度も見た。 でも、現実は残酷でコウは未だに戻ってこない。 コウ、私はここにいるよ。今でも待ってるよ。 ――心の底ではわかっている。コウはもう、戻ってこないこと “あの日”コウは屋上から飛び降りて死んだ。 自殺だった。遺書もないが、目撃証言があったためコウは自殺で片付けられてしまった。 コウとカザくんと私三人で写っている写真を引き出しの奥に閉じ込め、ため息を一つだけ漏らす。 でも、私は納得いかなかった。 何度も警察に言って、何度ももう一度調べてくださいって言ったけれど、小学生の言うことなんて信じてくれるはずなかった。 証拠もないのに、私の勘だけで動いてくれるほど、警察は優しくなかった。 だから、私は自分で調べに行くことにした。
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