奇妙な感覚

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学校につくと騒がしく、クラスわけをみる人で掲示板の前は一杯だった。 さすが地元で有名な超マンモス校。全校生徒数は確か千四百人前後だったはずだ。 バーゲンってこんな感じだよな。と思い人の波を掻き分けクラスを確認し、自分のクラスに向かう。 これじゃカザくんと同じクラスになるのは無理かな、と一人苦笑いをしながら端の教室に向かう。 教室に着くと、自分の席の前にカザくんが座っていた。 霜月(しもつき)と栖原(すはら)だから必然的に近い。 私がイスに座っても彼は何も言わなかった。少しだけ、それがありがたかった。 これから私はこの学校で一人で戦わなくてはいけない。 そんな中でカザくんが話しかけてきたら、絶対に頼ってしまう。 すがりつきたくなってしまう。 だから、私は学校でのカザくんとのかかわりを拒否した。 カザくんには、傷ついて欲しくない。 もうじき、始業式が始まる。 私は席を立ち、サボるために裏庭へ行った。 きらきらとした光が木々の隙間から漏れ、私を照らしていた。 私がついた先は、コウが落ちた場所。 花と、コウの好きだったおはぎが備えられている。 ただ、おはぎはそうとう前のものなのか、カビており、原型をとどめてはいなかった。 その時、校舎に付着した赤い染みを見つけた。 薄くなってはいたが、手のひらぐらいの大きさがある。 思わずしゃがみこみ、そっとそれに触れる。 それがコウのものだと、なぜだか分かってしまった。 瞳からぽろぽろと熱いものがあふれる。 一年も前のことなのにそれは、確かにそこに残っていた。 まるで、私の事を『待ってた』とでも言うように。
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