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「コウっ……ごめんね、痛かったよね……」
助けてあげられないでごめんね、気付いてあげられないでごめんね。
彼は地面に身体が叩きつけられた瞬間、どう思っただろう。
それとも、落ちているときにショック死だった?
できればそれが良い、なるべく苦しまなく死んでいて欲しいと思う。
ほんの一年前にコウがこの場所に居た。
そう思うと、なんだか変な気がした――いや、この学園にきたときから薄々感じていた。
ココはコウのいるべき場所であって、私の場所でない。
なんとなくで、そんな感じがしたのだ。
「コウ……?」
その声に私ははっ、と気付き目を擦った。
後ろを振り向くと、そこには男が立っていた。
この学園はネクタイの色で学年ワケをしている。
ネクタイの色は、赤。
――三年生……早速、か。
そうだ、私は泣いている場合じゃなかった。
その男は、私を見て驚いたように目を見開いていた。
そりゃそーだ、死んだと思ってた人間が目の前にいるんだから。
私は、負けない。
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