君と僕

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「何してるの?」 「………特に何も」 彼女との会話はいつもこんな感じだった。 凛と透き通る声。鈴のように響く。しかし、それとは別に温度と言うと変だが、冷たい感じがしていた。 「あっそ、何もないならいいわ」 実際、冷たいのだが……………。 「………………」 「………………」 二人の間に流れる沈黙。気まずいようで、そうでない感覚。 「………………」 彼女は、この沈黙の間に何を考えているのだろうか? 果たして、僕が今彼女のことを考えているように、彼女は僕のことを考えているのだろうか? 「私はね…………」 彼女が沈黙を破り、口を開いた。 「私はね、欲深い女なの。だから、欲しいモノは手に入れて、必ず私のモノにしたいの」 彼女の言葉の意味はよくわかる。 「そして、それと同じぐらいにケチなの。手に入れたモノは絶対に手放さないし、他人に触らせたくないの」 僕は、彼女の言葉を静かに聞く。 「そして嫉妬深いの、だから……………」 彼女は真っすぐにぼくの瞳をみる。 僕も彼女の瞳に吸い込まれるように、彼女のほうを見る。 そして、僕の視界は彼女の手に遮られている。正確に言うと、指をさされている。 「私は、あなたを手放すきはないの。それも一生ね。私が死ぬ以外はね」 「………………」 「だからお願いです……………」 「……………」 「私を、見捨てないで下さい」 彼女は、何で僕を選んだのだろうか。 まぁ、理由は一つしかないんだろうが 悪い気はしないが この世に偶然という言葉はあっても、意味は存在しない。 あるのは必然のみ 彼女との出会いも必然だったのだろうか。 そして、いまの状態も………………。
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