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そんな私でも、日頃を普通に過ごせるようになった。心のささえができたのだ。簡単にいうと、好きな人が出来たのだ。
その好きな人とは、別に知り合いというわけではない。
あれは、私がいつも通り不安に襲われていて、気分を悪くしている時に、ある少年が、
『大丈夫?』
と声をかけてくれた。
その人は多分高校生だろう。だってお姉ちゃんと同じ学校の制服だからだ。
ごく普通で、とくに目立った人じゃないけど、私は一目みて彼に惚れてしまっていた。
家族以外に初めて言われた言葉、私は嬉しくてしょうがなかった。
私のことを心配してくれる人がいる。
それだけで私は軽く救われた。
その日以来、私は名も知らぬ彼のことをいろいろ考えていた。
どんな性格なんだろう。趣味はなにかな?好きなものは?じゃ、嫌いなものは…………。
こんな気持ちは初めてだ。私は動揺していた。
私は、帰りに彼の姿を見ることが日課になった。
彼と話たいとは思っているけど、今はまだいい…………まだ早いのだ。
それにいま私は幸せなのだ。これ以上の幸せは私にとって毒になる…………
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