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「たあぁぁぁああああ!」
チョップが当たる前に、僕のわき腹に衝撃が走る。
「なんで私が叩かれなくちゃいけないの?」
「なんで僕は、わき腹を蹴られなくちゃいけないの!?それに、叩けてないよ僕は!!」
僕はわき腹を抑えて、床にうずくまっていた。
ありえねーよ。ありえないんですけど………。
折れてるんじゃないかな………。
本気で心配になった。
「私は心に傷がつきました」
「僕は……トラウマになりそうです」
心身ともに………。
「ほら、うずくまってないでないで今度は月々くんが着替える番よ?」
「誰の所為でこうなって……ていうのは無視ですか。…………痛くて動けないよ」
嘘ではない。別に鏡神を困らせたいんじゃなくて、素で動けません。
「ふぅん、しょうがないわね」
そう言って僕の方に近寄って、目線の合う位置まで腰を下ろし、腕を……
「何をする気だ?」
鏡神の腕が僕に触れる前に、僕は自分の腕を使ってそれを阻止した。
「あら、動けるじゃない」
「危険な目に遭いそうって体が判断したからね。で?何をしようと?」
「いや、着替えさせてあげようかと………」
「けっこうです!!」
「ふふっ遠慮しなくていいのに」
「遠慮なんか………えっ、ちょっ!」
急に鏡神の腕の力が強くなった。
「私、人形を着せ替えて遊ぶの好きだったのよね。女の子らしいでしょ?」
「女の子らしい……ですね。けど僕は人形じゃないし、人間です。ちゃんと、人としてみてください!あぁ、そんなこと言ってる間に、腕が完璧に伏せられてるしっ!?」
腕を封じられ、なにもできなくなった僕。
「あははっピンチってやつ?」
「大丈夫、私は着せ替えのプロよ?」
「まじっすか?じょ冗談ですよね、無音さん?」
「ふふふふっ本気よ」
目がマジだった。
そして、
「だめえぇぇええええええええええっ」
僕の声が家中に響き渡った。
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