進展

11/12
126人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
「なにっ急に叫んだりして、ビックリしたじゃない」 「いや、なんでもないです」 「ふぅん?」 やばい、やばい。つい気持ちが高ぶって、声に出してしまった。 「そう、なにもないなら行きましょう」 「了解です」 「地獄という地獄を………」 「そこは仕様でお願いします」 「デートに行きましょう」 「…………はい」 こうして、彼女は無表情。彼氏は疲れきった顔でという、ありえない形の初デートが始まった。 僕は誘われた方なので、取りあえず、鏡神について行くことにした。 「どこかに行く予定とかあるのかい?」 「んー……無いわね」 無いのっ!? 「とりあえず、そこらへんをぶらぶらしましょう。時間が時間だし」 「だね。どこの誰かさんが朝早くからくるから……店、どこも開いてないよ」 「まったく困ったものね。私たちの初デートっていうのに、どこも開いてないなんて……死ねばいいのに」 腹黒いなー。 「それは、君がありえない時間に来るからだろ?別に昼からでもよかったんじゃない?」 というか………。 「常識を考えて昼から来い!」 なんて、ものすごく言いたいな。 でも、言えるわけがない。だって、そんなこと言ったらなにされるか、わかったもんじゃないもん。 「できるだけ長く……居たかったから」 僕が、頭の中で鏡神に対する苦情と対策を練ってると、隣からそんな言葉が聞こえた。 隣には当然、鏡神がいて…………。 「えっ?」 「貴方のそばに、できるだけ長く居たかったから……じゃ、ダメかしら?」 さっきからの無表情とは、打って変わって、頬を少し紅潮させている、鏡神の姿がそこにあった。 「えぇっ!?え?」 「…………ダメかしら?」 上目使い。 うわー……………。直視できねえ。やばい。なんか胸がドキドキしてきた。 「…………………ねぇ?」 くっ。なんだこのギャップの差はっ! 正直に言う……鏡神無音。可愛い……めっさ可愛い。 「って、女の子にされるとツボに入る人?」 「…………………」 「フフッ」 「…………………ですよね~!!!!」 前言撤回させてくれ。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!