126人が本棚に入れています
本棚に追加
/41ページ
別に友達が出来ないわけではない。めんどくさいのである。関係を継続させるのが。
他人は他人。高校に入ってそう考えるようになって、僕は一人の時間が多くなった。
僕は、誰かにこの手紙が見つかることを恐れ、慎重に鞄の中には隠した。
「んー………とりあえずどうしよう」
選択肢は二つ。
1,挑戦を受ける
2,無視して帰る
……………………………………………………後者が妥当だろう。
「めんどくさいので帰りますかぁー」
僕は体育館裏に行くことなく真っすぐ帰ることにした。
「ちょっと待ちなさい」
鈴のような凛とした声が、僕の背中にささる。
ソプラノのような声。たぶん女の子だろう。
僕は言われた通りに足を止め、声のしたほうに振り向く。
振り返った先にいたのは………………。
「なによ。私の顔になにか付いてるかしら?」
彼女、この学校で知らないと言う奴はいないであろうと思われる、その女。
整った顔立ち。透き通るぐらい綺麗な肌。そして、服の上からでもわかるプロポーション。漆黒の艶のある長髪。そして、一際目立つのは、瞳。真っすぐ物事を見透かしたような瞳は黒く、吸い込まれそうな感覚に襲われる。
誰もが美人だと言われる女、鏡神 無音が不機嫌そうな面で立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!