嫉妬

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別に……特に好きでもなかった。あえて言うなら、他のクラスメイトとなんも変わらないと思っていた。 いつもクラスの端に一人でいて、かと言って友達がいないようには見えなくて、話し掛けられれば、話し返すみたいなことはしている。 私は興味………ほんの少しの興味に誘われ、話し掛けてみることにした。それ以外に理由はない。仲良くなりたいとか、話し相手になってほしいなど、そんなものこれっぽっちもなかった。 私が近づくと、その人物は足音に気がついたのか、こっちを向いた。 とりあえず、挨拶をしてみた。 うん、挨拶は大切だ。ファーストコンタクトは大事に。 挨拶をすると向こうも返してきた。 『こんにちは………』 少し戸惑っているように見えた。というか、戸惑っていた。 そう言えば、言葉を交わすのは初めてかしら………。 『えーと……その……誰?』 ちょっと!クラスメイトぐらい覚えておきなさいよ!! 『さぁ?誰だと思う?』 『ちょっとまって………』 えっ?本気で知らないの?嘘っ!? 『あっ。そうそう、何のようかな?御風さん?』 『御風さんって誰よ!?』 このクラス……学校にもそんな名字の人物はいない。 『あれ……違った?』 『違うもなにも、掠りもしてないわ』 私たちのファーストコンタクトは最悪だった。 少なくとも、私は……だ。
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