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なんか悔しい……負けてもないのに、なんだろうこの気持ち。
『私の名前は、鏡神 無音よ』
『わかったよ。鏡神さんね、覚えたよ』
本当に知らなかったらしい………。
それはそれで、悲しいものがある。
どちらかと言えば、私はクラスでは、目立つ……いや、中心的な人物と言っても過言じゃないはずなのに。
いやいや、深く考えるのは止めよう。
私は、仲良くなるために話してるんじゃない。
あくまで自分のためだ。別に名前の一つや二つ、忘れられたからと言ってどうってことはない。
『んで、僕になんのよう?』
『いや…特に用ってほどのものじゃ……ただ、貴方ってほら、いつも一人でいるじゃない?だから、ちょっと、話してみようかなー……なんて。迷惑だったかしら』
迷惑だなんてとんでもない。むしろ感謝してもらいたい。
いつも一人でいて、寂しそうにしている貴方の、話し相手になっているんだから………。
私がそう思って、作り笑顔をしていた。
すると、相手は笑顔でこう言った。
『迷惑だなんて……そんな…………かなり迷惑だよ』
…………………………………………はい?いまなんて言ったの?
予想外の返答に、対応出来なくなった私。彼は話を続ける。
『僕はね。猫が嫌いなんだ。なんでかと言えば、諺であるように、猫を被ってるからさ。都合のいいときだけ……自分を偽って生きるだなんて……虫酸が走るよ』
『えぇ!!?』
『確かに猫を被るのは、悪いことじゃないと思う。時には被らないと、人間関係はボロボロだもんね。けど、常にって言うのは…………』
『…………………なっ何を言ってるの?』
『君のことを言ってるんだよ』
そういって、席を立ち、教室を出ようとする彼。話はもうしない、という態度で………。
『失礼するよ。御風さん』
『……………………』
私はその場に立ちすくんだ。
なっなんなのよ!あれは!!
それに名前覚えてないし!
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