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壁に掛けてあるコートを手に取り、
雪の街に出て行った。
クリスマスイルミネーションの街は
星や、天使のオブジェにあふれ、
道行く人は喜びにあふれているように見える。
イエス・キリストが生まれた夜は、こんな騒ぎじゃなかっただろうに…
「世を救う神の子は、家畜小屋で生まれたんだ。」
街の騒ぎと、2000年前に待望んだキリストの誕生に隔たりを感じて、皮肉った気持ちが沸いて来る…
………………………
(あれは何だろう?)
レイモンドは、雪の中に、異様な染みを見た。
白い雪の上に
「血が?」
それは、てんてんと続き、引きずるような足跡と共に、路地に向かっている。
酔って喧嘩した若者かもしれない。
馬鹿騒ぎの自業自得じゃないか…
しかし、血痕のさきにあるものが妙に気になって仕方なかった。
医者なんだから、怪我人がいるなら捨てておけない…
彼は路地へと歩き出した。
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