最期の日々1

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………?    あれ……?    ふと、視線を向けたグラウンドに、僕は目を止める。    真夏の炎天下。 誰も居ない校庭をふらふらと横切って行く人が居る。 おぼつかない足取りで歩くその人は、長い時間を掛けて校門までを歩き切ろうとしていた矢先、脚を絡ませて転倒した。    「あっ……。」    思わず僕が零した声に、同じ様に窓際の席の何人かが僕を振り返り、その後視線が向く先、校門へと目を向けた。     「うわ、なんか倒れてるの居るんですけど。」     「ダセ…、つかアレ、佐藤じゃね?」    「えー、佐藤、今日は午後まで居たんだ~。」     「なになに?何見てんの?…うわ、アレ佐藤じゃん!転んでんのキモいし!」    「佐藤ヤバいよね~。」    「ヤダ、起きようとしてるのウケんだけど!寝てれば良いのにね~」     「え~、校門に佐藤居たら、あたし学校来ないし」    「どーせ寝るなら息しないで寝てろって」    「てか、ソレ死ねって事でしょ!ウケる!」     僕の声が切っ掛けで窓際に集まった数人のクラスメイトは、笑い声に嫌悪感を乗せながら思い思いの言葉を吐き捨てる。  
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