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鴨居隆太が、目をワゴン車のバックミラーに向けると、後ろからバイクの集団が鴨居達追いかけているところだった。絶望的だ。
「詩織!!なんなんだよこれは!!!」
鴨居は何度もバックミラーで後ろを確認しながら、左後ろに座っている詩織に叫んだ。
詩織は、鴨居の妹であり、大人しい感じの顔をしている。一般的に言えば可愛いのだろう。
ワゴン車には、五人の男女が乗っている。
二人が男で、残りが女だ。
男は、一人が鴨居で、もう一人が三波という四十代くらいのサラリーマンだ。
女は、詩織と、黒くてサラサラのロングヘアーの斉藤さん、綺麗な顔立ちで大人の雰囲気がある。あと一人は、可愛い系の今風ギャルの河崎さんだ。
「とりあえず、一生懸命逃げて!!」
詩織は鴨居と同じような声の調子で叫んだ。
それによって、アクセルを踏む足が自然と強まる。
「とりあえずって・・命がけなんだぞ!!」
鴨居は最もらしいことを叫んだ。
前方の交差点の信号機は、鴨居達をあざけ笑うかのように赤色の光を放っている。「危険だ、停まれ」という意味の赤色だ。
鴨居はバックミラーに目をやる。すぐそこまでバイクの集団が押し寄せている。先程よりバイクの量が減っているのは、気のせいだろう。
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