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鴨居はすべての力をアクセルを踏む足に送った。
そして、鴨居達を乗せたワゴン車は大きめの交差点の信号を無視した。
横からトラックが来るのが見えた。
鴨居は必死にハンドルを右に切った。
そしてすぐに左に切ると、キィーと甲高い音がした。
しかし、車は何事もなかったように交差点を通過した。
助手席の河崎さんの顔が青ざめているのが見えた。
「ちょっと、鴨居君!!危ない!!」
真後ろから斉藤さんの声が聞こえる。声も大人びている。
「やるじゃん、兄ちゃん!!ていうか、いつのまに免許とってたの!?」
詩織はこの状況を楽しんでるな、と思った。声が弾んでいる。
鴨居は質問には答えずに、バックミラーを見た。
バイクの集団は見えなかった。
さっきの交差点のお陰だろう。
「よし、もう見えないから次の交差点で降りろよ!!」
鴨居は左後ろの詩織を見ながら言った。
その時だった。
「前!!前!!」と叫ぶ河崎さんの声が助手席からした。
鴨居は、すぐ様視界を前方にやった。
絶望的だった。
無事に生き残って家に帰れる可能性は・・・ゼロだ。
鴨居は思った。
こんなことなら、ずっと家に引きこもっていればよかったな、と。
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