鴨居隆太

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「昼ごはん、ここに置いとくからね!!」 ドアの外から母親の声が聞こえる。 その声によって、今が昼だということを知った。 いつものことだ。 唯一外の光が入ってこれる窓は分厚くて黒い布のカーテンで塞がれている。いや、塞いでいる。 俺は明るいのが苦手だ。 だから昼でも夜でも部屋の電気は付けない。 もちろん今も付けていない。 だがこの部屋に唯一の灯りがある。 それはこんな閉め切った部屋でも世界とコミュニケーションできるパソコンの光だ。 今そのパソコンには、最近はまっているネットゲーム、「クロノスの闇」の画面が映っている。 一日中、部屋からでないで毎日このゲームをしている。 こんな生活を初めてもう1年はたつ。 今、俺は25歳。そろそろ結婚適齢期がやってくる。 こんな生活を続けていてはいけないとは思っている。 自分を変えなければいけないとも思っている。 しかし勇気が出ないのだ・・・。 俺は濃いめのブラウンの色をしたドアを開け、母親が置いていった昼飯をとった。卵の黄色が華やかなオムライスだった。 そしてドアを閉めようとした時だった。 唯一の光の発生場所であるパソコンから、ピロロンと安っぽい電子音が聞こえた。
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