軍事博物館

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ルーマニアには、日本にはない軍事博物館という建物がある。 歴史と一緒に武器の発展の過程が伺える。 他民族から襲われ場合に備え、その身、家族を守るために武器が進化して行く過程がよくわかった。 時には他民族を、他の集落を襲う。 人を殺すために武器はどんどん進化していく。 展示品は、紀元前の刃物のように研がれた石器から、石斧、そして矢尻から始まり、ローマ帝国時代には、村を濠で囲み、やがて物見やぐらが出て来るようになる。 人を殺すために破壊力、威力が増して行くのだ。 中世には刀が登場し、鎧が出て来て、鉄砲からピストルへと小型化し、照準が付き、近世になるとさらに大砲、マシンガンと、飽くなき人を殺すための武器が発展し洗練されて行く。 第一次世界大戦の頃になると、毒ガスが出て来て飛行機や、戦艦などが現われる。 第二次世界大戦のコーナーには、日本の銃剣も展示してあった。 そして1989年のルーマニア革命の展示品が並ぶコーナーに来た。 感動というよりも圧倒された。 胸が押し潰されるような気持ちになった。 今まで他民族を殺すために洗練され、進化した武器が、今度は自国民を攻撃するためのものとなった。 「自由のために闘う」 頭の中では理解出来ても、現実に光り輝く洗練された武器を前にすると、恐怖が先に立った。 卒業証書と共に撃たれ、穴が開き、血の付いた一市民のセーターが展示してあった。
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