戻らない時間。

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【別】 「―はい橋本ですけど。」 本人が出た。 「…橋本?花島です。」 「どうした?」 「あっあのね、 話しがあるの。大事な話」 「丸山のことか……」 「うん。 やっぱり…迷ってるの?」 私は震えが止まらない。 「すまん。」 「迷ってるんだね…」 涙が出てきた。 「別れよう……… って言う為に電話したの。」 声が震えてた。 「花島はそうしたいのか?」 私の中で 何が弾けた音がした。 「……~っ! 本当は別れたくないよ。 好きだよ。 すごく好き。 でも麻里が…」 その時 麻里の泣き顔が浮かんだ。 「麻里も大切なの。 傷つけたくない。 それに……」 橋本は黙って 聞いてくれていた。 「あの約束覚えてる? 私ずっとずっと待ってた。 いつも不安だった。 橋本は 約束忘れちゃったんじゃ ないかって……」 ひどい声だった。 「……覚えてるよ」 「えっ?」 「本当は こんな事が無かったら 言おうと思ってたんだ。」 私は耳を疑う。 「うそ…。」 「嘘じゃない。」 「じゃあなんで迷ってるの?」 「…言おうと 思ってたからこそ 気持ちがパニクったんだ。 本当に今混乱してる。 自分の気持ちがわからない。 すまん。」 私は 『言おうと思ってた』 の一言がすごく… すごく嬉しかった。 「…そうだよね、 混乱するよね。 私まだ待ってても 良いんだよね?」 「ちゃんと気持ち整理する。」 別れるつもりで電話したのに 私はその時 別れられなかった。 「…橋本」 「ん?」 「大好きだよ …それだけ、バイバイ」 「あぁ。」 そしてその電話の2日後、橋本は麻里を選び私達は別れた。
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