動き出す歯車。

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【苦】 いつだろう…… いつからこの気持ちが 出来たんだろう…。 あぁ… バレンタインDayから? あの日は 手を繋ぐはずだった日。 でも、結局手は繋げなかった。 いや… それ以前に 一緒に帰る事すら出来なかった。 私は冬の暗い通学路を 手作りチョコレートを持ちながら 一人で歩く…。 いつもの分かれ道に着いた。 真っ直ぐ行くと 私の家の方面 左に行くと 橋本の家の方面 私は一人でとぼとぼと 左の道を歩く… いつも止まって おしゃべりする場所まで着いた。 隣に居るはずの彼は居ない。 私は一人チョコレートを抱えながら しゃがみ込んだ……。 あれから 何十分たったんだろう。 私は橋本に起こされた。 「ごめん花島!」 頭がぼーっとして 状況が理解出来ない…。 「私寝ちゃったの?」 「ごめん…… こんな寒い中 待っててくれてるとは 思わなかったから」 寒い…? そう頭に浮かんだ瞬間 体が震えた。 「うんん… 勝手に待ってたのは私だから… はい!Happy バレンタイン」 私はチョコレートが入った包みを 橋本に渡した。 「じゃあもう遅いし …帰るね」 私は歩きだす。 「本当にごめん」 少し歩いた所で 止まって私は言った。 「今度は手繋ごうねっ」 そう言って私は走りだした。 その日から ずっと不安ばかりだった。 不安が私の中で 渦をまいていた。
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