お見舞い

2/3
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「あの……1225号室ってどこですか?」 受付の看護師に尋ねると、看護師は笑顔で「4階の東棟にあります。」と告げた。 1225号室というのは、かなの部屋のことだ。 予め番号だけは聞いていた。 未だ気が進まないまま、俺は重い足取りでエレベーターに体を乗せる。 途中で人が乗り込んでくることはなく、4階まで行くのにそう時間はかからなかった。 「東棟……こっちか」 俺は1225号室を目指して歩いていく。 1221……1222……1223…… あった。1225。 コンコン ドアをノックすると、中から女の子の「はーい」という声が聞こえた。 「……かな?」 俺は扉を開けて、そこに居る女の子に尋ねる。 「夕真!!」 凄く嬉しそうな笑顔でかなはこちらを見る。 思っていたより元気そうだ。 「約束通り、会いに来たよ」 俺は見舞いらしく花束を渡した。 「ありがとう」 かなは笑顔で受け取る。 何の病気なのだろうか─── 花を掴むかなの腕は物凄く細い。 「話すの……久しぶりだな」 「そうだね」 かなと俺はそれから話し込んだ。 あんなに気が進まなかったのに、今では全然そんなことはない。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!