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私は、智生の胸に顔を埋めて泣きじゃくった。
『大丈夫だよ・・・。
俺達の子は、怒ってないよ!!
だってさぁ、千歳が、一生懸命守ろうとしてたの知ってるしさぁ・・・
中絶して殺してしまった時も、お前がすげぇ悩んで苦しんでたことも、ちゃんと分かってるからさぁ・・・。
だから、絶対にお前のこと怒ってないよ!!』
『・・・智生っ・・・。』
私は、智生の言葉に少し救われた気がした。
『俺がもし、あの時、傍にいてやれたら・・・
お前が苦しまずにすんだのに・・・
あの時は・・・あの時の俺には、どうすることもできなかった。
仕事もしてなかったし、お前のこと守っていくだけの力もなかった・・・。
ごめんな・・・。お前、ずっと苦しかったんだろ!?
たった一人で・・・誰にも言えなくて辛かったんだろ!?ごめん・・・。本当にごめんな!!』
智生は、今にも泣きそうな顔で、私を見つめ、私のことを力強く抱き締めてくれた。
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