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私は、そんな智生の腕に抱かれながら、智生を見つめて微笑んだ。
智生は、私の笑顔を見て、少し安心したようだった。
『 ・・・もういいよ・・・智生。
智生が悪い訳じゃないから!!
お互いに若かったから、ああするしかなかったんだよ・・・。 』
『そうかもしれないな・・・。』
智生はそう言うと、少しだけ強く私を抱き締めた。
私は、懐かしい腕に抱かれて、心地いいと思った。
いつも、この腕に守られてた。
『なぁ・・・千歳。
俺達、もう一度やり直すことできねえかなぁ・・・。
俺、今でもお前しか考えられない!お前が好きなんだ!!』
『・・・智生・・・。
私・・・ずっと辛くて・・・苦しくて・・・
智生のことも・・・赤ちゃんのことも忘れようとしてた・・・。
だけど、今日、杏里に久々に会って、
あの時のこと思い出して・・・やっと・・・気付いた。
もっと・・・早く気づいてればよかったけど・・・
私には、智生しかいないんだって・・・。
ずっと仕事が忙しいからって自分に言い聞かせてたけど・・・
本当は、また・・・智生に会うことを願ってたんだと思う・・・。』
私は、じっと智生を見つめながら言った。
智生は、顔を赤くしてうつ向いた。
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