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しばらくして、口を開いたのは賢吾さんだった。
賢吾さんは不思議そうに私達を見てきた。
『聞いていいのか分からないけどさぁ・・・
5年前・・・お前等に何があったんだ!?』
『えっと・・・その・・・私が・・・。』
『俺が悪いんです・・・。
仕事もしてねぇのに、千歳を妊娠させちゃって・・・親に反対されて、別れることしかできなかった・・・。
そのせいで、千歳に辛い想いをさせてしまったんです・・・。』
『ってことは、おろしたのか!?・・・それはつらかったよなぁ・・・。
そっか・・・。お前等二人、大変だったんだな・・・。』
私は、賢吾さんに言われて、苦笑しながら頷いた。
智生は、深く頷いた。
私は、また、泣きそうになったけど、グッと堪えた。
そして、智生の手をギュッと握り締めた。
すると智生は、その手を握り返してくれて、私の方を見て、優しく微笑んだ。
『けど、今度こそ、そんなことがないように・・・必ず、千歳のことを幸せにしますよ!!』
『おお!そうか!!
じゃあ、週5の仕事を週6に増やすか!?』
『そっ・・・そんなっ!?無理っすよっ!そんなの!!』
『何言ってんだ!?俺は、ずっと週6(日曜は休み)で働いてんだゾ!!』
『でっ・・・でも・・・!!』
『でもじゃない!!明日から週6だゾ!!
千歳だって、ほとんど休みなく仕事してんだゾ!!』
『そうだよ!!私も、今は、仕事忙しくて週6だもん!!
まぁ、それは、私の実力を認めてもらえたから仕事が増えたんだけどね!!』
『そっか・・・分かった!!
俺・・・千歳の為にも頑張って働くよ!!』
智生は、そう言って頷くと真剣な顔をして、私を見てきた。
私は、そんな智生を見て、ニコッと笑うと頷いた。
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