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今、杏里に言われて、あの頃の気持ちが蘇った。
その途端、私の胸が高鳴った。
私は、今でも智生が好きなのかもしれない・・・。
『千歳・・・。
智生さんと別れたのってさぁ・・・嫌いになったとか、他に好きな人ができたとかじゃないんでしょ!?
あの頃の二人に何があったか知らないけど、
もし、嫌いで別れたんじゃないなら、もう一度会った方がいいんじゃないの?』
杏里に言われて、私は、あの頃のことを杏里に話すことにした。
私は、フゥッと溜め息をついた。
『う・・・ん。
杏里・・・実はね、私達、親に反対されて別れたんだ!!
ほら!私と智生の出逢いって援助交際だったでしょ!?
しかも、18の時に智生の子供を妊娠しちゃってさぁ・・・。
それが、親にバレちゃったの・・・。
そしたら、親が怒って別れさせられて、中絶させられたの・・・。』
私は、泣きながら、あの頃のことを話した。
杏里は、そんな私を優しく抱き締めてくれた。
『そっ・・・そうだったんだ・・・。
千歳も智生さんも大変だったんだねぇ・・・。』
『う・・・ん。
でも・・・今、智生のことを考えると、ドキドキするけど、
それが、好きなのか分からないし・・・
また、親に反対されるんじゃないかって不安だからさぁ・・・。』
私はそう言うと、深い溜め息をついた。
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