その時、天使は自由になる

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  「意味わかんない」  天使は、丘の上に座り込んで1人 呟いた。 「なにが?」 悪魔がトンッと、黒い羽で降り立つ。 「あっ、悪魔。久しぶり」 「おう、天使。どうした?」 「今日 神のじい様に、“お前達2人は離れろ”って言われたの」 「あー、俺もよく、会う度言われるよ」 悪魔は、けらけらと笑って言う。 「“悪魔と天使は対になるもの。相容れてはいけない”って……」  天使は悪魔を見上げる。 悪魔はあまり感情を出さずに、 「まあ、そうだろうなぁ……」 と言った。  天使は悲しくなる。 少しくらい、否定してほしかった。 「なんでさ、いけないんだろうね」 「そりゃあ、俺が悪魔で、お前が天使だから」 「でも!」 天使は立ち上がる。 「それだけの理由で、一緒にいちゃいけないなんて、意味分かんないよ……。私達、悪いことしてるの? なんでダメなのっ?」 天使の目に涙が浮かぶ。 「ただ好きなだけなのに! 私は悪魔を好きなだけなのに……」 天使はうつ向いて、ポロポロと涙を流した。 「大丈夫だよ」 悪魔が、優しくささやく。 天使は顔を上げた。  「どうして……?」  悪魔は顎を掻きながら、笑って言った。 「お前がそう言うなら、オレは傍にいるよ。周りなんて関係あるもんか」 そうして、天使の金の髪を優しく触る。 「俺も天使が好きだから」  天使は悪魔に恋をした。  悪魔は天使に恋をした。 でも、だれもそれを咎められない。 だれも、だれかがだれかを好きになることを、止める権利はない。  二人は抱き合った。 彼らは神に背くのだ。  
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