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今日は晴れ。
私はあの男性から置いていった傘が隣にある。
あの雨の日、電車がくるほんの5分間の出来事が忘れられないでいる。
あの男性は電車がくるまで泣いていた。
私は何も出来ず、ただ隣にいた。
私はゆうれいだから。
電車がくると、ベンチを離れ乗り込んだ。
電車のドアが閉まる瞬間、私は傘が隣にあることに気付き傘を持って立ち上がったが、プシューと音を立ててしまってしまった。
…どうしよう。
傘を抱き締めて、オロオロしていると、
電車の中のあの男性は、首を横に振り、笑顔で電車で消えていった。
あの日からまだあの男性は現われていない。
晴れの今日。
ちょっと恥ずかしがりながら、傘をさしてみた。
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