3⃣

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その日は先週と同じ雨。 同じ時間。 私はベンチに座った。 あの赤い傘を手に持ちながらKを待った。 早くこないかなぁ。 あの日から、なんでかKの涙が忘れられない。 それに私を見つけてくれた唯一の人だから。 来た。 階段を降りて、真っ直ぐ私に向かってきた。 そしてにこっと笑って私の隣に座った。 やっぱり手には花束。 こんにちわ。 急に話かけてきたので、あたふたして、恥ずかしくなって下をうつむいたまま小さく言った。 こんにちわ。 勇気を出してKの方を見た。 まただ。 花火だ。 小さい花火が胸の中でドーンと言ってる。 だって、この間は見れなかったどびっきりの笑顔でKが振り向くのをまっていたんだ。
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