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雷は駅から私を外へ弾き飛ばした。
傘を持ったまま、遠くへ、遠くへ…
どこかわからない遠くへ。
光のように細く、早く、誰かに向かって。
光が消え、目を開けたそこは、ベランダだった。
雨はすっかりあがっていた。
ここはどこ?
駅とは違う初めての景色。
小さなアパートのベランダに今私は座っている。
必死に頭を整理整頓しても、頭が混乱していた。
赤い傘をぎゅっと抱き締めながら、急に怖くなった。
ゆうれいになって初めての感覚だ。
涙が溢れてきた。
ゆうれいでも涙は暖かいんだ…
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