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赤い傘を私に差し出す男性がいた。
視線を落し、また駅を真っすぐ見た。
やっぱり気になって、もう一度振り向いた。
いるはずないよね…
まだいる。
赤い傘を私の座っているベンチに掛け、その男性は私の隣に座った。
その人は、膝に大事そうに花束を置いた。
小さな黄色や白色、ピンクの花が、可愛くまとめてあって真っ赤な大きなリボンで縛ってあった。
…恋人にかな。
横目でちらっと花から、男性の顔を見た。
泣いている。
どうして…
長いまつげ、大きくはないがきれいな目からポロポロと涙が落ちていった。
その日振っている雨のように。
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