空白の一球

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   八回の表。    ワンストライク、ツーボールに、ツーアウト、ランナーが二塁三塁。    こりゃ一点は入るかもしんないな……    俺は指示を期待して、ベンチに座る監督の方を見た。    だけど、いくらじっと見つめて待とうが、何の指示も無い。  自分で考えてやれってか?    仕方ない、これ以上長く打者を待たせたら何言われるか分かんないし。    俺は、右手に握ったボールを軽く宙に浮かせながら、打者を睨みつけた。    するとそいつも、負けじと俺を睨み返して来た。  俺のがビビっちまう。   「ふぅ……」    呼吸を整え、構える。
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