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立ち眩みに似た、軽い目眩が俺を襲った。
それでも俺は、構えを崩すわけには行かない。
ズバッと、風を切る音が耳に入った。
頭上に腕を上げる時に微かに聞こえる、独特の音だ。
息を吸って、吐く。
そしてまた、吸って、吐く。
落ち着いてから、また俺はあの打者を睨みつけた。
狙うはストライクのみ!
ボールを握っている方の腕を後ろにのけぞらせ、歯を食いしばる。
ボールを手から離した瞬間、それは物凄い勢いでキャッチャーミット目掛けて飛んで行った。
「……ストライク!」
打者は少しも動いていない。
その表情は『驚き』を隠せずにいた。
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