一章・ラスとアト

6/154
前へ
/529ページ
次へ
 ところが、街道で遭難すると言う、世にも奇妙な行き倒れが少女の目前で倒れていたわけである。  これがおかしくない訳がない。  だが、それは一般論である。  物事は、時に固定観念を捨てなければならない時がある。  今の例が良い見本だ。  普通、逆立ちしてもあり得ない事を本当に起こしている。  まさに非常識と言って良いラスは、筋がね入りの方向オンチだった。  今から三日程前……数ヵ月前に邪神を打ち倒したラスは、  約一ヶ月あまりの時間を掛けて、現在ラスが行き倒れしていた街道から約五キロ程度の所にある、大きな街へとやって来ていた。  リィア大陸の玄関口であり、隣の小大陸・サドニー大陸との公益などの役割を果たしていた、港町パーディスがそこだ。
/529ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5716人が本棚に入れています
本棚に追加