一章・ラスとアト

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 実はここにもちゃんと理由があったりするのだが、  その理由はあとで話す事にしよう。 「どうしよう……かな?」  少女は悩んだ。  一応、行き倒れのラスを助けるつもりではいた。  ……いたのだが、  いかんせん、ラスは重そうだ。  身長百八十センチはある。  丸太とまでは行かないが、確実に鍛えている腕を見ると、筋肉で固められた強靭な肉体の持ち主である事も予想に難くない。  別にマッチョマンの様な体ではないが、それでも体重八十キロはありそうな体格だ。  この体を担ぎ、  ここから一番近いパーディスまで歩くのはかなりの骨である。  何せ、近くでも五キロはある。  また、パーディス方面からやって来た彼女は、これから自分の住んでいる街であるクレナスへ帰ろうとしていたのである。  人助けとは言う物の  ……また、元に戻るのも考え物だ。
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