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その頃、遥矢はと言えば。
「っ、あの跳ねっ返りめ……どこ行きやがった……!!」
鞠乃が飛び出した方向から街中へ向かっていると判断した遥矢は鞠乃の向かいそうな道程を辿るように走り回っていた。
『はぁ……毎度の事だがお前には呆れたな』
それは、いつものように口にしただけの特になんの脈絡もない言葉だった。
だが、
『……が、な……ぃ』
『鞠乃?』
『しょうがないじゃない私には無理なんだから……遥矢の馬鹿!!遥矢なんて大っ嫌い!!』
泣き喚き怒鳴り散らし走り去ろうとする鞠乃。
『鞠乃!』
大嫌いと言われ少なからずショックを受けながらも普段、泣いたり取り乱したりする事など滅多にない鞠乃が心配で思わず手を伸ばし呼び止める遥矢。
だが、感情の高ぶっている鞠乃は、そんな遥矢の制止を振り切るように伸ばされた手を振り払い走り去ってしまった。
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