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1986年の冬。
私はこの世に生を受けた。
我が家は当時出来たばかりの市営住宅に住んでいて、サラリーマンの父と専業主婦の母との3人家族。
母方にとっても父方にとっても初孫で、親戚に可愛がられて育った。
私には兄がいたけれど、兄は先天性の疾患を抱えていて、産まれて半年もしないうちにこの世を去っていた。
そのせいもあり、親戚の喜びようは半端じゃなくて…私の幼少期の写真はやたらと多い。
私を抱いて微笑む母、私を腕に抱えて、哺乳瓶を傾ける父、そして祖父母や曾祖母の笑顔…
何も翳りのない、愛情をたっぷり注がれて産まれた赤子。
いつか産まれたことに後悔するなんて、誰も思わなかったよね…
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