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「クララのバカ。クララの意気地なし。クララなんかもう知らない」
ハイジはリハビリがうまくいかず弱気になってるクララに怒りを覚えその場を去ろうとした。
「ハイジ待って」
クララはハイジを追うにも足が動かず歩くことはおろか、立ち上がれない。
(何で動かないの、私の足。動いて。動いて)
クララは心の中でそう念じ、最後の力を振り絞り立とうとしたその時、奇跡が起こった。いままで嘘のように力が入らなかった足に力が入り、立てるようになった。クララは驚き、ハイジを大声で呼び止めた。
「ハ、ハイジ」
ハイジは足を止め、振り向いた。一瞬驚いたような顔をし、笑顔になった。その目からは涙がこぼれていた。
「立った…クララが立った…クララが立った。」
ハイジはクララの所まで駆け寄り、クララを祝福した。
「ワーイ。クララが立った。クララが立ったぁ」
ハイジはクララの周りを飛んで跳ねていた。
―そんな姿を地下のモニターで見ている人がいた。ハイジのおじいさんだ。
「ふ、クララが立ったか…。しかしこれは物語りの序章にすぎない」
おじいさんはそう言うと指をパチン。と鳴らした。すると奥からお馴染みの少年が顔を出した。ペーターだ。
「どうしたんだい?じいさん」
ペーターが尋ねると、おじいさんはいつもの優しそうな声でこう言った。
「クララを殺れ!」
この言葉を聞いたペーターは驚きを隠せない様子で言った。
「クララを殺れだって?冗談じゃないよ。何で俺が友達を殺さなくちゃなんだよ」
「じゃかしいわぁ!」
おじいさんの声でペーターは黙り込んだ。
「お前はただワシの言ったことをやればいいのじゃよ。ハイジの本当の力を目覚めさすにはそうやらなくては困るのだよ」
おじいさんの言葉を聞いたペーターは、
「チェ。わかったよ」
そう言って部屋を出て行った。
「フハハハ。面白くなってきたのう。ふはははは…」
おじいさんは暗い部屋で1人大きな声で笑った。
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