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神「どうやら、これ以上この姿を留めておくことが出来ないようです…。焔、景慧殿のことをしっかりお守りするのですよ。彼は我々光の一族にとっても奴ら闇の一族にとっても要となる存在かもしれません…」
焔「心得ました……。この焔、命を懸けて必ずや人界の神子なる真幸景慧殿をお守りし、神羅帝様よりの使命を果たしてみせます」
神羅帝は静かに頷き焔の言葉を受け止めもう一度僕に向き直る。
神「景慧殿、色々とご迷惑をお掛けしますが焔はいい子です。どうぞ彼の事、よろしくお願いします。それと貴方のお父上には既に事の次第は伝えてあります」
「父上に!?」
一体いつの間に……。
神「既に船の手配を始めていらっしゃって、明日には旅立てる様に準備してくださっています。私が御礼を言っていたと、伝えて下さいますか?」
「必ず………」
神「ありがとうございます……。時間のようです。景慧殿、焔、よろしくお願いします………」
最後の言葉が聞こえるか聞こえないかで神羅帝の姿は光の粒になって僕達の前から消えた。
焔「こんな四神全員が居ない時にお傍で御身をお守り出来ず…申し訳ありません……」
天に向かってそう呟く焔の表情はよく分からなかったけれど、神羅帝をとても大切に思っていることは痛い程分かった。
「行こう、焔…!」
焔「あぁ!」
少し躊躇ったけど、僕達の成すべきことは決まっていて、時間も限られている。
僕がそう告げると焔は名残を振り切るように僕の隣に並んだ。
僕達の未来を……
皆の平和を護る為に……!
僕は神羅帝から貰った水鏡と扇を握り絞めると、焔と共に全てを護る為の第一歩を踏み出した。
こうして僕と四神の天界、人界、魔界を巻き込んだ命を懸けた長い旅と戦いの物語の幕は上がったのだった…。
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