二ノ章~別れの夜~

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「…………はぁ」 焔「おい、寝ないのか?」 「焔……。うん、なんか…眠れなくて……」 部屋の露台に出て月を見上げているとお風呂に行ってた焔が戻ってきた。 神羅帝とのやりとりの後、父上に事の次第を説明し終え、ひとまず明日の出立に向け今日は一晩ゆっくりすることになった。 「あーもう、髪がびしょ濡れ。滴が落ちてるじゃない」 焔「なっ、コラ!何すんだ…」 「いいからじっとしてる!部屋が濡れるだろー」 僕は焔が首にかけてたタオルを頭に掛けると濡れた頭を拭いた。 最初こそ抵抗したものの、そのうち焔も大人しくなった。 神羅帝の命があるからか、あまり僕に逆らえないみたいだ。 「焔の髪には一部だけ紅くない所があるんだね」 焔「あぁ、格好良いだろう?」 「クスクス……さぁね。もういいよ」 水分を吸ったタオルを片付けるともう一度露台に出て月を見上げる。 焔「冷えるぞ、出発する前から風邪なんかひくなよ?」 「ありがとう」 同じ様に露台に出て来た焔が羽織りを僕の肩に掛けてくれる。 焔「………悪かったな」 「え?」 焔「いくらお前が封印を解いたからといっても、結果的にはお前を俺達の戦いに巻き込んじまった」 隣に立つ焔の頭が俯く。 「………これも運命」 焔「景慧……?」 「神羅帝の言葉。あの人は僕が鬼叉王の封印を解いたことをこれも運命なのでしょうって言った。だったら、僕がこの戦いに巻き込まれたのだって運命なんだよ」 焔「…………」 「不安がないわけじゃない。寧ろ今だって怖くてたまらない。身体が震えるし正直、僕みたいな子供に何が出来るんだって思う。でも」 眩しいくらい明るい月の光が僕と焔を照らす。 「僕にしか出来ないことだってきっとあると思うから……!」 だから僕は闘う。 例え小さくても何か僕に出来るなら。 この国の人々を護ることに繋がるなら。 焔「………そーかよ」 「焔?」 頭を掻くと焔は僕に背を向けて部屋の中へと戻っていく。 焔「流石、人界の王の子……。心根はいずれ次代を担う立派な皇子だな」 「え?何か言った?」 焔「なんでもねー」 「待ってよ焔」 暗闇に背を向けて焔の後を追って部屋に戻る。 何故かさっきまでより心が少しだけ軽くなったような気がした。 ………焔のお陰なのかな? .
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