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『若様ぁ!もうすぐ東の国に着くでさぁ!』
「分かったよ、ありがとう船頭」
大翔国を出発してから船に揺られること数日間、船頭がそう僕に言った。
そうそう、僕と一緒に旅をしてくれてる焔はというと………。
「焔ぁー!いい加減降りてきなってばぁー!」
焔はというと、帆柱の上からの眺めが気に入ったのか、上に登ったまま食事の時以外ずっと降りてこない。
まあ船酔いになるよりは全然いいけどさ。
焔「ウルセェ。どこにいようが俺の勝手だろうが」
………………相変わらず腹が立つ程オレ様だけどね。
「そんなこと言ったってもうすぐ瑞桔ノ国に着くんですけどー?」
焔「チッ、一々ウルセェ奴だな。降りてりゃいーんだろ。降りてりゃよ」
フッ…と焔の姿が消えたと思ったら、焔は帆柱から飛び降りてきた。
そしてまた暫く波に揺られていると、船の進行方向に陸地が見えてきた。
『若、あれが東の国、瑞桔ノ国ですよ』
「あれが瑞桔ノ国…」
焔「あそこに青龍が居るのか」
隣を見ると、焔が真っ直ぐ前を見つめていた。
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