四ノ章・始~東の国・交わる刃~

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声のした方を見遣ると、真っ黒な見たこともない異国の服を着た男が似たような服を着た部下らしき男達を従えて立っていた。 焔「チッ……噂をすればなんとやらってか?貴様、闇の者だな?」 稟「その通り。我が名は稟(リン)。焔よ、命が惜しければ大人しくその人界の神子を渡しなさい」 チャキッと音がして稟と名乗った細身の男が、その華奢で美しい外見に似つかわしくない柄に紐と玉の飾りの付いた腰の大刀を抜き、こちらに向けた。 「焔っ……!」 焔「俺の後ろに居ろ。何があっても絶対に離れるなよ?正直、今の力の半減した状態じゃ離れられたら守りきれるか分かんねぇからな」 少し苦い表情を浮かべた焔が相手に聞こえない様に小声でそう言った。 焔「悪いがコイツを闇にやる気なんてさらさらねぇよ!欲しけりゃ力ずくで奪ってみな!」 打って変わって挑発的な態度で稟に焔は言い放つ。 稟「………ふぅ、仕方ありませんね。では実力行使といきましょうか。行け」 稟の一言で背後に控えていた部下達が飛び出してきた。 焔「チィッ!面倒くせぇ!」 焔は懐から一枚の札を出すとそれに火を付けた。 すると札は一瞬の内に男の姿に変わり敵と対峙した。 焔「俺の式神の熾火(シホ)だ。熾火、奴らを分散させんなよ!」 熾『御意』 焔の言葉に少し高めの柔らかな声で熾火は答えた。 .
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