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その瞬間。
『ぐぁあぁあッッッ!!!』
稟「ッ!?なんだ!?」
いきなり熾火と対峙していた敵の一人が倒れた。
焔「熾火、お前…」
熾『いえ、私ではありません』
焔「じゃあ一体……!?」
『「下がれ、下等な者共よ」』
焔「景慧!?;;」
焔の驚いた声がその場に響く。
(…………ナニ…これ……)
その時、僕は不思議な感覚を味わっていた。
確かにソコに存在しているのに、立っているのは僕ではない。
焔「お前、景慧じゃないな!?お前は誰だ!」
『「我が名は風麼。いにしえより伝わりし神闘具、風麼翔扇の使い手なり」』
焔「風麼翔扇の……使い手だと!?;;」
僕の体で、僕の声で、でも僕の意思とは違う風麼の言葉が焔の問い掛けに答えた。
『「退け、闇の者共よ。さもなくばその身、我の力をもって切り刻む」』
稟「…………天魔大戦でも名の知れ渡る伝説の翔扇使い風麼がこんな形で蘇るとは……。少し予定外でしたね。仕方ありません、ここは一旦退きましょう」
稟が手を挙げると部下の男達は居なくなった。
稟「今回は私の負けです。しかし次はこうはいきませんよ」
焔「捨て台詞は格好悪ぃぜ」
稟「あのまま風麼が現れなければ、神子も守り切れず死んでいた貴方に何を言われても気になりませんね」
焔「!!テメェッ……!」
『「止めろ南神。行くなら早く行け。我は心優しき我が主と違い、そう気は長くはない」』
僕の体をぼんやりした光りが包む。
(風麼の力だ………)
強すぎる風麼の力が器としては小さい僕の体から洩れている。
稟「どうやらゆっくり話している暇はないようです…。では、またいずれお会いしましょう」
黒い風が吹き抜け稟は居なくなった。
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