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「はぁ…はぁ……。こ、ここだ」
ガタガタと建て付けの悪い扉を開けると、そこにあるのは埃まみれになったガラクタのような物達。
ここは父上の集めたコレクションの物置場。
でもその殆どが偽物だったりして、集めた父上自身この物置場を忘れてしまったらしく、もう暫く来ていない。
その証拠にここはボロボロで物達は埃を被っている。
なにやら嫌な感じがするし第一埃まみれになるので、城の人間はあまりここに近寄らない。
だから僕にとってここは絶好の逃げ場となる。
「あれ?なんかまた物が増えたような……ん?なんだアレは?」
目に止まったのは黒いふかふかの座布団の上に置かれた四つの玉。
今まで何度か来たけど、初めて見た気がする。
「ふー………ごほっ、ごほっ!;;」
息を吹き掛けると積もりに積もった埃が舞い上がる。
「なんだ……コレ?」
埃が無くなった四つの玉はそれぞれ四色の色の玉で、幻と言われている伝説の神獣朱雀・青龍・玄武・白虎が金で玉の表面に描かれていて、その横には小さな巻物が付いていた。
巻物を開いてみると文字が書いてある。
「んー……物…語かな?炎を司りし紅き紅蓮の神鳥朱雀…。その真名をもって魔の王鬼叉王をここに封じ共に眠る。名は……【焔(ホムラ)】」
キィーン……!
「なっ、何!?;;」
文字を読み終えた途端、目の前の玉が光を放ち出した。
紅・蒼・碧・黄の四色の光が部屋に満ちる。
「まっ、眩し……!」
『……礼を言うぞ人界の神子よ……』
「なっ、何……っ!?;;」
一瞬、紫と黒を身に纏った男が見えて声も聞こえたような気がしたけど、パーン!と何かが弾けた音がして辺りは真っ白になった。
余りの眩しさに僕は目を閉じるとそのまま気を失った………。
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