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『……………』
(あれ……?)
『お……………!』
(何か…声が聞こえる……?)
『……ぃ!……っかり……』
(紅色………?)
「……しっかりしろっつってんだ!このクソガキ!」
バッチーン!
「いっ…たぁーーーッ!(泣)」
大きな怒鳴り声と共に僕の目を覚まさせたのは、強烈な頬の痛み。
「何するんだよ!」
「お前がいくら呼び掛けても起きねぇから、俺様がわざわざ起こしてやったんだろーが!」
「だからって頬を殴る奴がいるか!そもそもアンタは一体誰なんだよ!?」
目の前に居る紅を纏った男の服装から、少なくとも城の人間じゃないことは分かる。
「あぁ!?お前が俺を呼び出したんだろうが!」
「呼び出したって……」
そんなことしていないと言う前に、僕は気を失う前の事を思い出した。
僕は確かにあの時、巻物に書かれた名を呼んだ。
「もしかして…焔?」
焔「おう、俺が聖王神羅帝に仕える四神が一人、南の炎を司る神鳥朱雀・焔だ」
って…何それ……;;
いかにも自慢げに言われたけれど、何の話かさっぱり分からない。
焔「俺の他にも神獣は居るぞ。まずは水を司る…っておぉぉおおッ!?;;」
背後を振り返った焔がいきなり絶叫した。
「今度は一体……」
焔「お前!ここにあった巻物と四つの玉の内残り三つはどうした!?」
「え?」
焔に言われてさっきまで四つの玉が巻物と一緒に置いてあった場所を見ると、四つあった内の三つの玉が消えて、今は紅色の朱雀が描かれた玉が一つあるだけだった。
巻物は僕の手の中。
「巻物はここにあるけど……後は知らないよ。焔の名前を言った途端、周りが光りで満ちて眩しくなって、何かが弾けるような音がした後僕は気を失ったから」
焔「なんてこった……。鬼叉王の封印が解けちまった……」
焔はぼそりとそう呟くと、脱力したようにその場に座り込んだ。
「焔?どうしたの…ねぇ焔ってば」
あまりの変わり様に心配になった僕は、焔を揺さぶるためにその身体に触れた。
その瞬間。
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