短編小説集第①部

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初めて迎えた二人の朝。咲季はぐっすりと深い眠りについていた。     その姿からは昨晩の女と、同じ女だとはまるで思えない程、あどけなく穏やかな寝顔だった。         そして、私は眠り姫をそのまま寝かし、置き手紙と合鍵をガラステーブルの上に置き、仕事へと出掛けた。       私の仕事とは…某下着メーカーに勤めるしがない営業マンだ。     私の顔だちはホストの様な顔だちらしく、街頭で声をかける姿はまるでキャッチをするホストそのものだったそうだ。 そのせいか何度もホストにスカウトされた事があった。      しかし、私はしがない営業マン。売り上げの為なら何でもする。   ニューハーフのお姉様達とも仕事の為、枕をした事もあった。   会社の為。利益の為に…          この日も私は、売り上げの為にセレブな感じのマダムに声を掛けた。 営業の話(下着の話)をすると案の定ホテルへと連れて行かれたのだった。     そこでセレブな感じのマダムはいきなり身に付けている物を全て取り、身体の採寸をするように要求してきた。     私はいつもの様に触れるか触れないかの様なソフトタッチで採寸を始めた。     下着とは敏感な所を覆う物。それを外し採寸をすれば自然に敏感な所に触れてしまう。私はごく自然に、ごく事務的に採寸を行うのだが決まってベッドに誘われる。   しかし、私はビジネスマン。   簡単には寝ない。             そして、リピーターとなって頂いてから初めて枕に従う。これが私のやり方なのだった。
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