短編小説集第①部

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待ち合わせの場所に近付くと、また電話が鳴っているのに気付いた。     マダムからだった。       電話に出ると 待ち合わせの場所を変更してくれとの事だった。     私は変更された待ち合わせの場所へ向かった。     当初の待ち合わせの場所は高級なBARであったが、変更された待ち合わせの場所は、とある有名ホテルの一室だった。       ホテルの部屋の前に付き、ドアをノックした。     ……………。     まだ来ていないのか、反応がない。       今度は呼び鈴を鳴らした。      その時だった。     私は後ろから抱きつかれ不意にホテルの廊下に押し倒された。       私が 『冗談はよして下さい』 と言うと、マダムは何も言わず廊下に倒れている私に覆い被さってきた。     そして、その場で私のシャツのボタンに手を掛けてきた。     その姿はまるでさかりの着いたライオンの雌のようだった。
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