短編小説集第①部

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この時、私にはまだ理性があった。     しかし、その理性を保てたのは二人でデュエットをしている、その時迄だった…     咲季は唄っている私の頬に口付けをしてきたのだ。     私は唄うのを止め、少し戸惑いつつも咲季を見つめた…     咲季の瞳は麗しく濡れて私を見ている。   その焦点はブレる事なく真っ直ぐに私だけを見つめていた。       私は咲季の瞳から焦点をずらし唇を見つめた。そして…     咲季の唇に私の唇を接近させた。     咲季は戸惑う事なく瞳を閉じ、私の唇を受け入れたのだった。
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