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開けっ放しにされたカーテンを横目に、眩しい朝日が差し込む。
「あと5分だけ~」
もう11月。冷たくなった空気には、なかなか勝てない霞がかった至福の時間。
これがたまらなく気持ちいい。
「う~。。。とりあえず学校いかなきゃなぁ。貴美ちゃんに心配かけるわけにはいかないし。」
このウダウダしたのは
藤堂刹那(17)。
幼い頃に両親を亡くし、父の弟、藤堂貴美に育てられた。
寂しさは感じない。
両親の記憶はないに等しいから。
知っている温もりは貴美の暖かな胸だけ。
それだけで十分なのだ。
時計を見る。
既に授業が始まっている時刻だ。
身支度を整え、ダイニングに用意されていた朝食を美味しくいただく。
「最近、貴美ちゃんってば、どこに行ってるんだろ?」
普段は、家にいる叔父だが、ここ最近は外出ばかりだ。
「はぁ。。。学校あんま行きたくないなぁ。」
「。。。。。。。。」
いつもと変わらない教室
いつもと変わらない授業
いつもと変わらない。
『結局、来てるんだけど。』
『迷惑だっつぅの』
せめて、本人に聞こえないようにして欲しい陰口。
「いいかげんさぁ。言いたいことあるならたまには直接言ってくんない?」
『。。。』
無言で立ち去る女子たち。
そうなのだ!
もっとも腹が立つのが、総シカト!!
「あたしが何したってゆうんだ?まったく心当たりないんだよねぇ」
こんな状態は4ヶ月くらい前から始まったのだが。元々、仲の良い友達がいたわけではないから、理由が気になっているだけだ。
それでも学校に行くのは、父親がわりの貴美に出来るだけ心配をかけたくないからだ。
「まぁ、悩んでも答えでないし、時間まで寝てよぉ~」
貴重な睡眠時間も終わり、すぐさま家路につく。「あ。」
鍵が掛かっていた。まだ帰ってきてないようだ。
「ただいまぁ」
帰ってきたのは時計の針と家電品の音
気分転換にシャワーを浴び、暖房のおかげで暖かくなったリビングで、バスタオルを肩にかけた下着姿。
作り置きしておいたアイスティーを一気に飲み干す。
「かぁ~っっっ!たまんないねぇ!!」
この、単身赴任中のおやじ的言動こそがたまんねぇものではないかとはわかっている。
が、やめられない、
「さて、何しよっかなぁ」
『ティルルル、、、
ティルルル、、』
「はい。藤堂です。」
「刹那ぁ~僕だよぉ~」
「貴美ちゃん!?」
電話の相手は叔父の貴美だった。。。
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