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オートロックの豪華なマンション。
暗証番号を入力し、扉が開く。目の前には広々としたエントランスホール。セキュリティーは万全。警備員は数人。
ここに、銀色の長い髪にスラリとした長身の男が一人。
彼は迷う事なく、最上階へと向かう。
エレベーターの扉が開くと、ホールの先には入り口はたった一つ。
「まったく。。。」
男が小さくぼやく。
白い指先をインターホンへと伸ばす
「なにぃぃぃぃ!!!!!」
防音処理はされているはずの扉の向こうから、けたたましい声が聞こえた。
男は、指先の行き先を変え、この部屋のものと思われるカードキーを手に取り、すぐさま部屋に走り込む。
ここは日本。靴ぐらいは脱いでほしいものだが、いささか、その余裕はなかったのだろう。
男は声の聞こえた方へと直行し、隔てられていたドアを力いっぱいに開けた。
「いかがなさいましたか!?」
目の前には肩にバスタオルをかけた下着姿の女が電話片手に止まっていた。
そう、ここは藤堂家。
「なにぃぃぃ!!!!!!!!」
見知らぬ男が血相抱えて入ってきたら、当然の反応だろう。
もう何がなんだかわからない刹那は、自分の格好など気づかない。
「今の声は遠矢でしょ?代われる?」
貴美は極めて冷静だ。
「とおや。。。?」
「そ。銀髪のコ」
銀髪なんて、世間にそうそういない。間違いなく目の前にいる見知らぬ男のことだろう。
「あの。。。貴美ちゃんが代われって。。。」
恐る恐る話しかける。
銀髪の男は無言のまま受話器をとるが、刹那に向き直り、
「貴方はまず服を着なさい。はしたない。」
刹那は自分の姿を思い出し、すぐさま部屋に戻りそこらへんの服を適当に見繕った。
「ってか、ちょっと待て。貴美ちゃんの話、横暴すぎやしないか?まじでありえないから」
大きすぎる独り言をさえぎるように男の声が聞こえる。
「服を着たのなら、早くこっちにいらっしゃい」
刹那は納得出来ない状況の中、渋々リビングへと向かった。
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